※写真、アカシュモクザメ:のとじま水族館HPより
■ジンベエザメクラブ通信No.7
石川県にある、のとじま水族館より ジンベエザメクラブ通信 2016年7月5日受信
<内容>
梅雨も明けきらぬ今日この頃皆様いかがおすごしでしょうか。
さて当ジンベエザメ館ではジンベエザメの他にエイやサメなども同居しています。
このエイやサメの仲間を板鰓類(バンサイルイ)と呼びます。この仲間の特徴は例外を除いて鰓孔(サイコウ)が5対あり骨格がすべて軟骨で形成されていることです。
この板鰓類、ジンベエザメ館では15種類を飼育しています。水族館で飼育する生き物の中では比較的大きくなるものが見られ十分なスペースを用意しなくてはきちんと飼育することができません。
その中でも魚食の傾向が強く、ハンター的な性質をもつ種類は遊泳力が強く水槽の中の飼育には向いていない傾向が見られます。魚を追いかけて襲って食べるのですからそのスピードはかなりのものです。海の中では止まることも障害物をかわすこともそれほど必要ありませんので問題ないのですが水槽の中ではガラスや壁に衝突するとケガをしてしまいます。
当館でもジンベエザメ館ができる前はそのような種類を長生きさせることはできませんでした。
しかし今では以前飼えなかったアカシュモクザメやホウライザメを飼育できるようになりました。
アカシュモクザメはオープン当初の6年前は100cmくらいだったのが今では大きいもので約260cmまで育ちました。そのハンターぶりはすさまじく、当初飼育にチャレンジしたクロマグロを追いかけまわしすべて食べてしまいました。しかしクロマグロといえば魚類界でもトップクラスのスピードランナーです。観察中も余裕でアカシュモクザメを振り切っていました。
では、なぜ食べられてしまったのでしょうか?
なんとチームプレイで自分より素早いクロマグロを仕とめていたのです。観察中に追われたクロマグロが猛スピードで追っ手を振り切り逃げ切ったかと思ったその先にいたゆっくり泳ぐアカシュモクザメが待ち受けていました。紙一重で回避したかのように見えましたがすれ違いの瞬間に尾びれを食いちぎられて泳げなくなってしまいました。するとアカシュモクザメが群がり跡形もなく食べてしまいました。
偶然なのかもしれませんが5回は同じ光景を観察したので「もしかしてチームプレイ?!」と思った次第です。
知能が高いと言われることがある板鰓類だけにさすがと感心させられた出来事でした。
ヤブネ
以上です。
■参考:
※写真、ホウライザメ:WEB魚図鑑より
※ジンベエザメクラブ通信No.1 関連記事:ジンベエザメクラブ通信 ジンベエザメ「イオリ」の近況について のとじま水族館より 2015年12月28日
※ジンベエザメクラブ通信No.2 関連記事:ジンベエザメクラブ通信 イオリとモモベエ食事の呼び出しについて また「さかな教室」2016年年2月21日開催参加者募集 のとじま水族館より
※関連記事:ジンベエザメのイオリとモモベエ お互いのしっぽを追いかけ回す 給餌訓練の続報 ジンベエザメクラブ通信No.3 のとじま水族館 石川
※関連記事:ジンベエザメと一緒にいる魚達とナポレオンフィッシュについて ジンベエザメクラブ通信No.4 のとじま水族館 石川
※関連記事:ジンベエザメの食事や生態について5分間解説イベント 2016年4月29日~5月5日11:00~ ジンベエザメクラブ通信No.5
※関連記事:食事タイムは荒れ模様 ジンベエザメクラブ通信No.6 のとじま水族館