※仲間と一緒にいる白いシャチ:independentより
写真、Far East Russia Orca Project (FEROP)
■千島列島沖に5頭の白いシャチが現れた
研究者によると、千島列島の海域において、5頭もしくは、多くて8頭の白いシャチが確認され、これは同系交配の問題があると推測されるということです。
通常シャチは、白と黒の模様ですが、時折、白だけのシャチが見られます。しかし、彼等は、孤独で未熟な個体で健康上の問題で若くして死んでしまうと思われます。
現在研究者は、2015年8月に確認した千島列島沖にいる5~8頭の白いシャチを含む群れを危惧しています。
国際自然保護連合(IUCN)の専門家メンバーであり、イギリスの鯨類研究団体(WDC)のシニア研究者でもある、ロシア極東シャチ研究プロジェクトチームのErich Hoyt氏は、2010年と2015年に白いシャチ、通称アイスバーグ(Iceberg)を発見確認したわけですが、彼がIndependent誌に話した内容によると、この事で重要な点は、一つの群れに白いシャチが複数頭存在しているということです。
Erich Hoyt氏が言うには、通常、白いシャチは、極めて珍しいものであり、南極で何万頭ものシャチを見てきた研究者でさえ見たことがないそうです。それが、ロシアの一つの海域に、白いシャチが5~8頭も固まって確認されるというのは、同系交配の問題があるのではないかと推測されます。
彼等がアルビノであるか白変種であるかは、まだはっきりと分かりません。
■シャチを取り巻く環境と保護について
Erich Hoyt氏が言うには、世界には約5万頭のシャチがおり、群れの交配範囲は20~30から600~700のグループに及びます。
万一、メスのシャチが水族館によって捕獲されたり、何らかの理由でいなくなってしまうと群れの存続が危うくなってしまいます。
先日もロシアで、氷に閉じ込められたシャチが救出されましたが、シャチは差し迫った絶滅危機に瀕しているとは判断されないため、国際自然保護連合の絶滅危惧種には指定されていません。
また、化学汚染物質である、プラスチックのゴミからでるPCBは、特に問題です。シャチは食物連鎖の上でトップにいるため、ひどく影響を受けてしまいます。
Erich Hoyt氏は、シャチはそれに最も汚染を受けている種類であると言います。
■白いシャチ、アイスバーグについて
白いオスの成体のシャチ、アイスバーグは、2010年に発見されて以来、少なくとも22歳であると思われます。彼の安定した成長には希望があり注目すべきことです。
2010年にアイスバーグを見た時、少なくとも15~17歳でしたが、今は22歳くらいでしょう。もう完全な成体です。
ちなみに、飼育下にあったメスのシャチ(Chimo)の白くなる色の変化は、遺伝性免疫疾患であるチェディアック・東症候群が原因でした。
メスである彼女は100歳まで生きられたはずでしたが、僅か4歳という短い命でした。
(調査結果は、journal Aquatic Mammals誌の論文にて明らかにされています。)
※関連記事:白い成体 オスのシャチ 「アイスバーグ」 2010年の映像 ロシア
※関連記事:欧州のシャチに絶滅の恐れ、PCB汚染で繁殖力ゼロに 研究 AFPBB News 2016年1月18日
※関連記事:欧州のシャチなど海洋哺乳類の脂肪中のPCB濃度が有害なレベルに達している Scientific Reports 2016年1月15日
※関連記事:子どものシャチも含めて4頭が流氷に閉じ込められる 救出作戦進行中 ロシア 樺太
※関連記事:体長7mの4頭目のシャチも救出成功 ロシア 樺太
※参考:シャチのChimo
(2016年9月2日independentの記事翻訳編集、Erich Hoyt氏公認の英文記事)
※independentより
■Erich Hoyt氏のツイッター↓