今月から苫小牧沿岸で始まった秋サケ漁の定置網に9日、ヨシキリザメ1匹が入っているのが見つかった。魚や漁具への被害は確認されていないが、苫小牧漁業協同組合(吉田政芳組合長)は、7月下旬から沖合のカニ籠や刺し網のサメ被害が相次いでおり、警戒を強めている。
同漁協によると、ヨシキリザメが見つかったのは、苫小牧市錦岡の海岸から約1・6キロ、水深27メートルの沖合。
苫小牧漁協さけ定置網漁業部会に所属する漁船から、同漁協に「定置網に生きたサメが入っている」との連絡があった。その後、漁船が捕獲し、同日午前5時半に苫小牧港・西港漁港区に運んだ。
ヨシキリザメは体長約1・8メートル、重さ14・4キロの雌。国内では、主に太平洋の外洋に生息しているが8月中旬には、苫小牧沖30キロの海底に沈めたカニ籠に頭から突っ込んだ状態で水揚げされ、関係者を驚かせた。
さけ・ます内水面水産試験場(恵庭)によると、ヨシキリザメが道内沿岸の定置網に入るのはまれ。サメの生態に詳しい岩手県水産技術センターの後藤友明研究員も「ヨシキリザメが水深20メートル台の浅場に出没するのは珍しい」とした上で「今年の9月は津軽海峡から張り出した暖流(津軽暖流)の影響で太平洋沖の水温は例年より2~3度高い20度前後で推移。温暖な海域に生息するヨシキリザメが沖合にいること事態はおかしくはない」と分析する。
1日に解禁された秋サケ定置網漁は7日、苫小牧沿岸全9カ所に網が設置され、漁が本格化したばかり。8日は約30トン、9日も約32トンと好調な水揚げが続いているだけに影響を心配する漁業者は多い。
同漁協は、8月中旬以降、組合員に対してサメによる漁具、漁獲物被害の有無や目撃情報などの調査を実施中。長山和雄専務は「苫小牧だけでなく、道や道漁業協同組合連合会などの関係機関とも情報共有し、海域全体で慎重に対策を講じたい」と話している。
※ 苫小牧民報社より
※ 苫小牧民報社より