桜井記念・視覚障がい者のための手でみる博物館 手でみる博物館 視覚障害者に「本物」を 宮城

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桜井記念・視覚障がい者のための手でみる博物館

※画像:桜井記念・視覚障がい者のための手でみる博物館ブログより

 木造2階建ての民家の2階に上がると、サメやライオンなど動物の剥製、駅ホームなどのミニチュア模型が並ぶ。


 盛岡市にある「桜井記念・視覚障がい者のための手でみる博物館」は、視覚障害者が直接手で触れることができる展示品をそろえた博物館だ。2月に79歳で亡くなった桜井政太郎名誉館長が生前に収集、または製作した約3000点は、触る人の好奇心を満たし「本物」を伝える工夫が詰まっている。

 2011年から桜井さんとともに働いてきた現館長の川又若菜さん(34)は「『百聞は一触(いっしょく)に如(し)かず』という言葉を、桜井は大事にしていました」という。視覚障害者にとって、触れることが何よりも大事だという教えだ。

 桜井さんは小学4年の時、緑内障で視力を失った。盲学校時代には、博物館でヘビの剥製に触れて係員から叱られた。「見えない人は説明を聞いて歩くだけ。退屈だ」。その不満をきっかけに、当時の岩手県立盲学校(現県立盛岡視覚支援学校)の教員だった1981年、改築した自宅で無料の博物館をオープンさせた。視覚障害者への支援の功績が認められ、01年に毎日新聞の点字毎日文化賞、14年には旭日双光章が贈られた。

 剥製からは、かすかに動物臭を感じる。ミニチュア模型には、大仙陵古墳や東京スカイツリーなど誰もが知っている建造物、施設の模型もそろい、じっくり触るだけで理科や社会の勉強ができる。マッコウクジラの骨の標本は、桜井さんが岩手県山田町であがったものの一部を譲り受け、自宅で漂白するなどして作った。

 街で見かけるものでも、見えなければ想像しにくい。鳥居なら、手が届くのは柱の下の部分だけ。「こんな形をしていたんだ!」。博物館で模型に触れた多くの視覚障害者が、感激するという。

 博物館は、桜井さんが体調を崩したため、11年夏から川又さんの両親の自宅に移った。案内役は川又さんと川又さんの母親。午前と午後に各1組しか受け入れられないため、入館者は視覚障害者やその家族、教育や福祉で障害者支援に携わる人に限っている。それでも、毎年全国から400〜500人が訪れ、既に11月まで予約が入る。

 「『触察(しょくさつ)欲』を満たせる空間にしたい」。そんな桜井さんの願いが詰まった博物館は、今後も来館者の「心の目」を楽しませる。

【村山豪氏】2016年5月14日の記事
※毎日新聞地方版より


■桜井記念・視覚障がい者のための手でみる博物館
住所:〒020-0817岩手県盛岡市東中野字五輪7-1

TEL:019-624-1133 
FAX:019-624-1133 

・JR盛岡駅から車で約10分。東北自動車道盛岡インターチェンジ(IC)または盛岡南ICから約20分。
・開館時間は午前9時〜午後4時半。
・入館無料。
・不定休の完全予約制。

・視覚障がい者、そのご家族、教員、ボランティアや福祉に携わる方など限定で開館しております。
・基本的に一般の方には開放しておりませんが、お問い合わせください。 

・閉館日などはブログに掲載。
・行き方が難しいようですので、ブログ内アクセスのページをご参照下さい。
・その他、詳細は桜井記念・視覚障がい者のための手でみる博物館ブログページにてご確認下さい。

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