※気仙沼のサメ肉を使った料理を試食するカディージャ組合長(右端)らスペインのはえ縄船団代表ら=気仙沼市本吉町大谷で
近海マグロはえ縄漁の再生に向けた取り組みが進む気仙沼市の漁業・水産加工業の現場を、大西洋で同種の漁に従事するスペインの漁業関係者が19日訪れた。両者は持続的な漁業に与えられる海洋管理協議会(MSC)の漁業認証取得を目指しており、双方の漁法などの情報を交換し、今後連携を進めることを確認した。【井田純氏】
同市を訪問したのは、スペイン最大の漁港ビーゴを拠点に、メカジキとヨシキリザメのはえ縄漁を行う漁業組合のホアキン・カディージャ組合長ら3人。19日は、市内のフカヒレの加工場などを視察。はえ縄漁を行う気仙沼遠洋漁協の役員ら漁業関係者と意見交換を行った。
加工場では原料となるヨシキリザメを、姿煮やスープに使われるフカヒレのほか、サプリメント用コンドロイチン原料など部位ごとに分類・選別する工程を見学。一行は、加熱・乾燥などの工程ひとつひとつを写真撮影し、具体的な手順などについて細かく質問を重ねていた。
取材に対し、カディージャ組合長は「適正な漁を行っている漁業者どうし、気仙沼の人たちとの協力関係を築きたい。MSC認証取得に向けて、情報を交換することは互いに有益だ」と強調した。
カディージャ組合長によると、資源保護への取り組みが進む欧州では、MSC認証を納入条件とするレストランやホテルが増えており、「今後さらに厳しくなることは確実で、漁業関係者にとって死活問題となる」という。また、サメ漁自体への環境団体の批判も強いことから、「持続的な漁であるという認証を受けることで、逆に違法な漁を漁場から締め出す動きにつなげたい」と説明する。
一行が視察した加工場を運営する中華高橋水産の高橋滉社長は、「フカヒレ業者にとってだけでなく、メカジキなど気仙沼の水産業全体がバランスよく発展するためにも、近海はえ縄漁船の安定した操業は不可欠。スペインの漁業関係者と協力することで、水産業復興が進んでくれれば」と期待を寄せた。
訪問団は20日に魚市場を視察。気仙沼を拠点とするはえ縄漁船を見学し、漁法などについて船主らと情報交換を行う。
■ことば
<MSC漁業認証>
持続可能で、適切に管理され、環境に配慮した漁業を認証する制度。英国に本部のある海洋管理協議会が定めた基準に基づき、漁期、漁獲量、漁法など80項目について審査される。国内では京都府のアカガレイ、北海道のホタテ漁が認証を取得。県内では昨年から塩釜市のカツオ、ビンナガマグロ漁についての審査手続きが始まっている。
気仙沼のはえ縄漁:再生へ スペイン漁業者と連携 MSC認証、ともに目指す /宮城 – 毎日新聞 https://t.co/TYyNyDcLSa
欧州の漁師と連携し、持続可能な漁業の認証を目指しています。
— 毎日新聞仙台支局 (@mainichisendai) 2016, 1月 20
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