上田のサメ化石は新種 上田染谷丘高教諭が採集・確認 2015年10月17日

スポンサーリンク

1
※鈴木さんが採集した新種のサメの歯の化石(下の棒線は長さ1ミリ相当)

 上田染谷丘高校(上田市)の理科教諭で理学の博士号を持つ鈴木秀史(ひでし)さん(51)=上田市真田町本原=が16日までに、上田市真田地域で歯の化石を見つけたサメがこれまで知られていない新種と確認し、全国の博物館や大学の化石研究者でつくる化石研究会(事務局・群馬県立自然史博物館内)の会誌に論文を発表した。約1500万年前の深海に生息していたサメの歯とみており、「発見場所一帯はフォッサマグナ(大地溝帯)の一部で、当時は駿河湾のような深い海だったと考えられる」と話している。

 鈴木さんによると、歯の化石は高さ2ミリ、幅2・4ミリ。過去の論文などに記載されたサメの歯とは形状が異なり、未確認のサメと分かった。現在、深海に生息する小型のサメ「ツラナガコビトザメ」「ヨロイザメ」に近い種類で、体長20センチほどと推測。発見場所にちなみ、「サナダツラナガコビトヨロイザメ」と命名した。

 鈴木さんは2008~10年ごろ、真田地域を流れる神川(かんがわ)の川底で化石を採集。一緒に見つけた有孔虫(ゆうこうちゅう)と呼ばれる動物プランクトンの化石を解析し、サメが生きていた年代を推定した。化石は現在、長野市信州新町化石博物館で保管している。

 鈴木さんは教員の傍ら、化石を通じて古代の気候や環境を明らかにする研究に取り組み、真田地域などで深海性のサメ類の歯や硬骨魚の骨の化石を収集してきた。「深海のサメは個体数が少なく、歯の化石の発見が難しい。こつこつと時間をかけて他の地域でもこのサメと同じ歯の化石を見つけたい」と話している。

 サメの歯に詳しい鶴見大(横浜市)の後藤仁敏(まさとし)名誉教授(古生物学)は「たった一つの歯ではあるが、当時、一帯の海がどんな様子だったかが分かる貴重な資料と言える」と話している。
※信毎webより
スポンサーリンク
関連