ジョーズショックで千葉、茨城の海水浴客が激減 代わりにプールは盛況だったが 2015年10月6日

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鉾田市沖で確認されたサメ(茨城県警提供)
※鉾田市沖で確認されたサメ(茨城県警提供)

この夏のサメ目撃情報で、海水浴の本場・千葉県や茨城県の海岸の人出が激減、千葉県では、サメのいないプールが集客数を増やすという結果が出た。映画のようなサメの恐怖で、夏場の観光資源が奪われた形で、関係自治体は防護策などを検討し、来夏の対策をとる考えだ。

 千葉県がまとめた夏の観光シーズンの県内主要施設集客状況(7月1日~8月31日)によると、8月上旬以降、沿岸部でサメの目撃情報が相次いだことなどから、海水浴場(64カ所)の集客数が前年同期比5・9%(9万4千人)減の150万2千人と落ち込んだ。観光・レクリエーション施設(39施設)は同3・3%(5万7千人)減の165万人だった。地域別の海水浴客数は、夷隅地域(10カ所)が同3・0%(1万4千人)減の45万7千人、山武地域(12カ所)が同9・5%(4万1千人)減の39万6千人だった。サメの目撃情報のほか、台風の接近などが影響したとみられる。内房の安房地域(28カ所)は同11・4%(4万1千人)増の40万人。

 一方、県内のプール施設の集客数は同4・3%(4万7千人)増の113万6千人だった。宿泊施設(19施設)をみても、海水浴客が大きく減った九十九里地域で減少。逆に、北総地域は外国人観光客の増加に伴い、同9・9%(5千人)増の6万1千人と大きく伸びた。県観光企画課の担当者は「サメや天候不順が影響し、前年より減少した。だが、県内観光の状況は良くなっており、今後もプロモーションを積極的に実施していきたい」としている。

 同じく、首都圏に近く、海水浴で人気の茨城県。東日本大震災の東京電力福島第1原発事故による風評被害から回復傾向にあったが、8月5日に鉾田市沖でサメが目撃されたことをきっかけに、5市町9カ所の海水浴場で相次いで遊泳禁止の措置が取られ、大きな打撃を受けた。県内では7月18日から8月23日まで、8市町に18海水浴場を開設。県観光物産課によると、今夏に県内の海水浴場を訪れた人は約70万7千人で、前年比6・2%(4万7千人)減少した。平成22年に約175万人いた県内の海水浴客は、震災の年の23年に約28万人に激減。その後、24年は約65万人、25年は約84万人と回復したが、26年度は悪天候が影響し約75万人と前年を下回った。これに対し、今年は海開き後の天候に恵まれ、前半の海水浴客は順調に推移したが、鉾田市沿岸でサメ2匹が目撃され、事態は暗転した。

 サメの影響を受けた5市町9カ所の海水浴場は、前年を9・1%(6万2千人)下回った。中でも、県内で最も来客が多い大洗サンビーチは前年よりも26・4%(約9万4千人)少ない26万人にとどまった。サメの影響がなかった北茨城、高萩、日立の県北3市8カ所の海水浴場では利用客が前年を20・9%(約1万5千人)上回った。観光物産課は「海水浴客が遊泳禁止の場所から北上した」と分析する。例年、県外からたくさんの人が集まる大洗町の大洗サンビーチでは、「サメの目撃があったため、海に入らないでください」との放送が流され、遊泳禁止を知らずに訪れた海水浴客に動揺が広がった。一部の海水浴場では、サメよけの防護網を張り、海水浴を再開した。だが、鉾田市の大竹海岸鉾田海水浴場は、悪天候に阻まれて防護網の設置を断念した。最終日まで遊泳禁止を余儀なくされ、かき入れ時の海の家や土産物店の経営も直撃した。

 県観光物産課は「来夏は、サメが現れてもすぐに防護網を張るなどの対応を協議し、海水浴客の回復を図りたい」としている。
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