※ガラスケース越しに銅剣を見る来場者=2016年2月11日、鳥取市の県立博物館:日本海新聞より
サメの絵が見つかった弥生時代中期中ごろ(紀元前2世紀)の銅剣の一般公開が11日、鳥取市の県立博物館で始まった。銅剣とともに、山陰地方で出土した他のサメの絵画資料も展示され、来場者の古代ロマンをかき立てている。5月8日まで。
展示している銅剣は、鋳造後の青銅器に施した絵が確認された国内初の例。全長42センチで、根元近くに長さ2・3センチ、幅1センチのサメの線刻絵画がある。サメを描いた出土例は山陰地方にしかなく、海上交易の盛んだった地域特有の祭祀(さいし)儀礼で用いられたと考えられる。
会場では、銅剣と青谷上寺地遺跡(同市青谷町)で出土した木器や土器8点、白枝荒神遺跡(島根県出雲市)の土器1点など計13点を展示。銅剣のサメはルーペで拡大して見られるようになっている。
初日は展示説明会もあり、同館の酒井雅代専門員が「銅剣の形自体も珍しく貴重なもの」と述べ、絵の特長や祭祀との関係などについて解説。「いろんなストーリーを思い描ける。多くの人に見てもらいたい」と呼び掛けた。
ガラスケース越しに観察し、遠い昔の弥生人の信仰に思いをはせた来場者も。米子市から訪れた川崎仁美さんは「サメの絵は、怖いものを祭るような気持ちだったのだろうか。とても興味深い」と話した。