ゾウやゴリラ、シャチなど動物園や水族館の「2030年問題」

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2030年問題

※画像、毎日新聞より

■動物園、人気者が消える日が? 「2030年問題」高齢化で頭数減、新規導入に壁

 ゾウやゴリラ、シャチなど動物園や水族館の人気者たちが、2030年ごろには見られなくなってしまうかもしれない。国内で飼育されている動物が高齢化し、生息数の激減や価格の高騰などで新規輸入が難しくなっているためだ。夏の行楽シーズンを前に「動物園の2030年問題」を考えた。


 5月下旬、井の頭自然文化園(東京都武蔵野市)で、アジアゾウの「はな子」が国内最高齢の69歳で死んだ。「戦争で傷ついた心を癒やして」とタイから贈られ、多くの子供たちを喜ばせてきた人気者だった。

 はな子の死で同園のゾウはいなくなったが、運営する東京動物園協会の担当者は「新たにゾウを飼育するかどうかは白紙」と話す。日本動物園水族館協会(日動水、151施設加盟)の意向で、新たにゾウを飼う場合、繁殖が可能なように、最低でも雄1頭と複数の雌による群れでの飼育が求められるからだ。同園には1頭分のスペースしかない。

 日動水がこうした方針を打ち出した背景には、このまま新規導入がないとすると、10年時点で全国に46頭いたアフリカゾウは30年には7頭に激減してしまうとの試算がある。ゴリラは23頭から6頭に、グレビーシマウマは24頭から8頭に、ラッコも34頭から10頭に減る。

<輸入費用が高騰>

 動物を輸入するには、動物の対価に加え、相手国の自然保護基金などにもお金を払う必要がある。さらに近年、新興国や途上国で動物園の新設が相次ぎ、輸入費用が高騰している。

 静岡県で動物園「iZoo」を運営する白輪(しらわ)剛史さんによると、ここ20年間で、アジアゾウは1300万円から3500万円に、ホッキョクグマは400万円から6000万円に、ゴリラは200万〜300万円から1億円に値上がりした。白輪さんは「過去に導入した時の費用を想定していたら、今はとても足りない」と指摘する。

<国内で繁殖促進>

 日動水は、群れ飼育の方針を基本にするとともに、動物園同士の協力で動物の貸し借りによる繁殖を進め、動物の国内調達体制を強化する試みも始めている。繁殖の緊急度が高い国内外の「管理種」を92種指定。血統などを考慮してふさわしいペアを作ったり、人材育成や技術の確立に力を入れたりしている。近年では国内9カ所の動物園でツシマヤマネコの繁殖に取り組み、00~13年に45頭が生まれたという。

 富山市ファミリーパークの山本茂行園長は「繁殖に取り組んでも来園者増加や市民サービスにつながらないと難色を示される場合もある。動物園は繁殖も担う施設だということを法律で位置づけ、市民や行政に認識してもらうことも必要だ」と話す。【渡辺諒氏】
※2016年7月6日の毎日新聞より

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