ホホジロザメ 謎の生態に迫る NHKニュースおはよう日本 2015年10月8日

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ホホジロザメ 謎の生態に迫る


阿部

「今年(2015)、全国で相次いだ、サメの出現。
その中には、あの映画にも登場した巨大なサメもいました。
こちら、ホホジロザメです。」

 

和久田
「大きいもので、体長6メートル、体重3トン。
実際の大きさは、このくらいになるんです。
凶暴で恐ろしいイメージがありますが、生態はよく分かっていません。
その謎に迫る調査に密着しました。」

 

追跡!巨大ザメ “ジョーズ”の謎に迫る

 

世界各地の海に広く分布しているホホジロザメ。
サメの中で最も肉食に特化していて、オットセイやイルカなどのほ乳類を捕食します。
サメ研究の世界的な第一人者、グレッグ・スコマル博士です。
30年前からホホジロザメの研究をしています。
アザラシなど、魚をえさにする海のほ乳類たち。
ホホジロザメは、彼らを捕食することで海の生態系のバランスを調整していると、グレッグさんは言います。

 

マサチューセッツ州 海洋水産局 グレッグ・スコマル博士
「ホホジロザメは、海の生態系のトップにいます。
ホホジロザメがいなくなると、自然のバランスが崩れ、人の暮らしにも必ず影響が出ます。
うまく共存するために、サメのことをもっと詳しく調べなければならないのです。」

 

グレッグさんが解き明かしたいと考えているホホジロザメの謎があります。
それは、狩りの方法。
体の大きなホホジロザメは小回りが利かず、俊敏なオットセイをなかなか捕らえることができません。
アシカも捕まらないと思っているのか、悠然と目の前を通り過ぎていきました。
ホホジロザメは、どうやって獲物を捕らえているのか。
これまでもさまざまな研究が行われてきました。
その多くは、おりの中からという限られた条件での観察でした。
人も襲われる危険があるためです。
この方法で知ることができたのは、生態のごく一部でした。

 

そこで今回、彼らが開発したのが、水中ロボットカメラ。
「シャークカム」と名付けました。
サメの背びれに取り付けた発信器。
その信号を感知して自動的にサメを追いかけ、カメラで撮影する仕組みです。
調査が行われるのは、太平洋の絶海の孤島。
メキシコ本土から250キロ、グアダルーペ島です。
秋、この海にはたくさんのホホジロザメが集まってくると言います。
獲物となるゾウアザラシも数多く生息しています。

 

「ここにいる!」

 

サメに発信器を取り付けます。
シャークカムは、サメの姿を捉えられるのか。

 

「サメは150メートル先、シャークカムは捉えているわ。
サメが曲がった。
シャークカムも曲がったわ。」

 

海面近くを泳ぐサメの姿を見事に捉えました。
追跡を続けると…。
突然、サメが深くへと潜り始めました。

 

「水深25メートル、60メートル、なんてこった!」

 

シャークカムが潜れる限界は、水深90メートル。
サメは、海底に沿ってさらに深場へと潜っていきます。
1時間半、サメは深場からほとんど動きません。
思わぬ事態が起きたのは、その時でした。
突如、真下からサメが現れ、シャークカムに襲いかかってきたのです。
発信器を付けたサメとは別のサメです。
回収したシャークカムの表面は傷だらけでした。
映像を詳しく分析します。
シャークカムを真下から襲うホホジロザメ。
シャークカムを食べようとしているようにも見えます。
この行動を見たグレッグさんたち。
今まで知られていない狩りの方法があるのではないかと考えました。
ホホジロザメの獲物・ゾウアザラシは潜水が得意です。
沖から陸へ戻るとき、深場に潜って移動することが分かっています。
ホホジロザメはさらに深くまで潜り、海底の暗闇に身を潜め、獲物を待ち伏せするのではないか。
獲物を見つけるやいなや、深場から垂直に急上昇。
獲物に気付かれないうちに不意打ちをしかける。
これがホホジロザメの狩りのやり方ではないかと考えたのです。

 

仮説を確かめようと、グレッグさんたちは下向きに付けるカメラの台数を増やしました。
シャークカムが襲われる瞬間を狙います。
サメは、やはり深場へ潜っていきます。
待ち続けること、2時間。
真下を撮影するカメラの映像。
サメが現れました。
サメは、45メートルの距離を、わずか3秒間で急上昇。
シャークカムが捉えたのは、グレッグさんたちの仮説通りの動きでした。

 

マサチューセッツ州 海洋水産局 グレッグ・スコマル博士
「明らかになったのは、ホホジロザメの生きる上での賢さです。
獲物の習性を知った上で、深場を賢く利用していました。
獲物が取れないと繁殖もできず、次の世代を残せません。
サメたちは、暮らす環境に合わせて必死で生きているのです。」

 

これまで謎に包まれてきたホホジロザメの生態。
どう猛なだけでなく、戦略的な狩りを行う新たな一面が明らかになりました。

 

阿部
「がぶりと来るシーンは、何度見てもどきっとしますね。
ただ、これも獲物を取るための戦術ということで、考えているんですね。」

 

※関連記事:再放送決定! NHKスペシャル「“ジョーズ”の謎に挑む~追跡!巨大ザメ~」 再放送 2015年10月14日(水)午前0時10分~午前1時00分

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