※2016/03/17 に公開、Wall Street Journalより、英語のみ
この動画は、アメリカ、シーワールドのシャチの繁殖とショーを中止する決定についてオースティン・ハフォード記者が解説する(英語音声、英語字幕) Photo: Reuters
海洋テーマパークを運営する米シーワールド・エンターテインメントは17日、シャチの繁殖とショーを中止すると発表した。シャチの扱いについて激しい批判にさらされていた同社にとって大きな方向転換となる。
シーワールドは調教師がショーの最中にシャチに襲われて死亡した事件を取り上げたドキュメンタリー映画「ブラックフィッシュ」が2013年に公開されて以来、来場者数や業績が低迷し、最高経営責任者(CEO)が辞任に追い込まれた。
同社は本拠地米カリフォルニア州サンディエゴでの拡張工事計画を発表していたが、同州当局は新設備でのシャチの繁殖と移動を中止しなければ工事を認可しない方針を示していた。同社はこの認可条件をめぐりカリフォルニア州沿岸委員会を提訴している。
「ブルー・ワールド」と呼ばれるこの拡張計画には、現在の2倍に相当する約3万7800立方メートルの容積を誇る水槽の建設が含まれていた。同社は昨年、3億ドル(約335億円)の同プロジェクトによって、3カ所のシーワールドでシャチの飼育エリアが大幅に拡大すると述べていた。
同社は17日、今後はショーに代わり、野生のシャチが直面する危機についての教育に重点を置く展示を行うと発表した。来年サンディエゴから開始し、2019年にテキサス州サンアントニオ、フロリダ州オーランドでも新たな展示を始める。
また、同社が行っている海洋動物の救助活動にも焦点を当てる予定だという。近年では年間約1000万ドルを救助活動に費やしているが、周知努力を怠っていたと述べた。
イルカなど他のショーについては継続するが、消費者の嗜好(しこう)が変化すれば見直す可能性もある。
シーワールドのジョエル・マンビーCEOはアナリストとの電話会議で「これまでで最も難しい経営判断だった」とし、「今後は一層、事業の拡大に注力し、前向きでエネルギッシュで感銘を与える計画に再び集中できる」と述べた。
同社の調査によると、消費者は同社の決断に前向きな反応を示しており、今後は来場数と収入が増加する見通しだとした。
これまでシーワールドを強く批判してきた米国動物愛護協会はこの決定を支持し、調査や教育で連携する方針を明らかにした。
また、別の動物愛護団体「動物の倫理的扱いを求める人々の会(PETA)」もシーワールドの決定を支持したが、シャチを海に設置した囲いに移動し、野生に戻せるものについては海に帰すよう求めた。
By AUSTEN HUFFORD
2016 年 3 月 18 日 07:22 JST
※参考:PETAツイッター