※イタチザメ(沖縄美ら島財団提供)
【本部】沖縄美ら島財団は26日、イタチザメの子が子宮内の液体から有機物を吸収して成長することを解明したと発表した。他のサメが胎盤とへその緒を通じて栄養を受け取るのに比べ、特殊な繁殖方法だという。
危険ザメとして知られるイタチザメは一度に最大80匹を出産する。卵黄はあるが、子ザメが母ザメの胎内で重さ10倍に成長することから、それ以外の栄養源があると推定されていた。
総合研究センターの佐藤圭一博士は「サメは基礎的な情報でも分かっていないことが多い。繁殖方法が分かれば保護や飼育下の繁殖にも役立つ」と説明。イタチザメの個体を提供した県内各地の漁協に感謝した。
米海洋大気局のホセ・カストロ博士、米クレムゾン大学の故アシュビー・ボーディン博士と10年がかりで共同研究した。22日に英学術誌「マリン・バイオロジー・リサーチ」オンライン版に掲載された。
※沖縄タイムス+プラスより
※沖縄タイムス+プラスより
※追記
■イタチザメ、子宮内に栄養あった 美ら島財団が解明 (2016年1月27日琉球新報より)
【本部】沖縄美ら島財団(本部町)は26日、米国博士2氏との共同研究で、大型危険サメ「イタチザメ」の子どもが成長するのに十分な有機物が母ザメの子宮内の液体に存在することを解明したと発表した。胎盤やへその緒を持たない同種は、小さな卵黄以外の直接的な栄養供給がなく、胎内での成長過程が不明だった。今回の研究はサメ類の新たな繁殖様式の特定となり、海洋生物の生態解明や保存、希少生物の繁殖育成などに期待される。
研究は、沖縄美ら島財団の佐藤圭一博士と米国海洋大気庁(NOAA)のホセ・カストロ博士、米クレムソン大のアシュビー・ボーディン博士(故人)の連名で「妊娠イタチザメの胎仔(たいし)に対する新たな栄養供給機構」の論文として、英国の海洋生物に関する国際誌「マリンバイオロジーリサーチ」に22日付で掲載された。
イタチザメは世界の熱帯から亜熱帯の海域に分布し県内でも広く見られる。一度で最大80匹ほどの子ザメを妊娠、出産することで知られる一方で、胎内での成長について栄養供給方法が未解明だった。
同種は授精前の卵の状態では乾燥重量30グラムほどだが、胎内で成長した子ザメは体長80センチ、体重350グラムと10倍以上になるという。
研究チームは母ザメの子宮内部の液体に着目。八重山漁協や読谷漁港から個体の提供を受け、液体の栄養物質の有無を調査した結果、豊富な有機物が含まれていることを確認。これが子ザメに取り込まれているとし、卵黄の栄養に依存せずに成長すると結論付けた。
佐藤博士は「子宮内が薄い膜で小部屋のように仕切られており、その中の透明な液体に栄養分となる有機物が存在した」と説明。「イタチザメを含むメジロザメのグループは、へその緒と胎盤を持っているが、イタチザメにはない。イタチザメの祖先が失った過程で、特異な繁殖方法を獲得したと思う」と話した。
※琉球新報より
※琉球新報より
■参考:発表雑誌
<雑誌名> Marine Biology Research
<論文名>
A novel mode of embryonic nutrition in the tiger shark, Galeocerdo cuvier.(妊娠イタチザメの胎仔に対する新たな栄養供給機構)
<著者名>
米国海洋大気庁(NOAA) Jose Castro、(一財)沖縄美ら島財団 佐藤 圭一、米国クレムソン大学(Clemson Univ.) Ashby Bodine
※ 沖縄美ら島財団資料News Releaseより
※ 沖縄美ら島財団資料News Releaseより