※伊勢志摩経済新聞より
海の博物館(鳥羽市浦村町、TEL 0599-32-6006)特別展示室で現在、どう猛なイメージのサメを全方位から知る企画展「サメはこわい?おいしい?役に立つ?」が開催されている。(伊勢志摩経済新聞)
「伊勢うどん」の次に揚げられる伊勢の郷土料理はサメの身を干した「サメのタレ」をはじめ、薄く切ったサメの身を湯引きして酢みそで食べる「サメナマス」も志摩地方の祝いの席や正月料理に欠かせない。「伊勢はんぺん」「かまぼこ」の材料にも使われるなど食べ物としてのサメは最も身近で親しみ深い。
サメの皮はカバンや財布、ベルトのほか、ザラザラの形状を生かしたおろし調理器などに。歯は装飾品に、そのほか身体に含まれる成分は化粧品や薬にも使われている。
海の中で遭遇すると人を襲うイメージが先行するため、マイナスのイメージはつきまとう。実際、志摩半島の海女たちも昔からサメを恐れ、難を避けるための祭礼を行い、サメから身を守るためのまじない(魔よけ)「ドーマンセーマン(セーマンドーマン)」を手ぬぐいなどに縫い込んで海に出る。
同展では、サメの生態、食料としての食べ方、部位の利用など体の仕組みや、水産資源としてのサメの利用について、多くの資料を展示する。
学芸員の縣(あがた)拓也さんは「戦時中は戦車の潤滑油にサメの肝臓から取った油が使われた。その後肝臓からは保湿成分として知られるスクワランが利用されている。かまぼこやはんぺんの材料にも使われているがサメを原材料名に表記するとイメージが悪いからか、表記されているのを見たことがない。剣道の憧れの高級胴は『サメ胴』。交尾する時雄のサメが雌をかむ『性癖』があるため、皮を利用する時、一部にかんだ跡の穴が残る。実はサメ皮おろし器のほとんどはエイの皮」など楽しく説明する。
11月22日13時30分~15時には、日本を代表する「サメ博士」東海大学海洋学部田中彰教授がサメの体の仕組みや謎多き大型サメ「メガロドン」の生態などについて話す講演会「サメのふしぎを探る」(参加無料)、11月29日11時~14時30分には、海の博物館と鳥羽水族館でサメについて学ぶ「博物館と水族館で、サメのなぞとき探検隊」(親子20人、要事前申し込み、大人のみの参加は不可、参加料=高校生以下500円、大人1,000円、両館入館料含む)を開催する。
開館時間は9時~17時(12月1日~3月20日は16時30分まで)6月26日~30日、12月26日~30日休館。入館料は、大人=800円、高・中・小学生=400円。来年1月11日まで。