観光需要を取り込め グランビスタの新たな一手 鴨川シーワールド 2015年10月23日

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シャチ
※鴨川シーワールドのシャチのパフォーマンス

■誘客にキラリと光る存在感 シャチのパフォーマンス、南房総の発展担う

 「日本には小さいものも含めて水族館が100カ所あるといわれているが、シャチのパフォーマンスを見られるのは鴨川シーワールドだけだ」。グランビスタホテル&リゾートの基幹施設である鴨川シーワールドの荒井一利館長は胸を張る。

 海に囲まれた日本列島は世界の水族館の4分の1が集中しており、人口当たりの施設数では米国や中国を上回る「水族館大国」だ。誘客競争も世界一激しくなるが、鴨川シーワールドは、海の王者シャチのパフォーマンスというキラーコンテンツを持っており、キラリと光る存在感を放っている。

 知性の高いシャチのトレーニングは非常に難しく、トレーナーとして熟練するのに時間がかかる。下積みが長く、厳しい仕事だが、水族館の花形職業であるシャチのトレーナーを目指して、毎年多くの若者たちが鴨川シーワールドの門をたたく。

 シャチ以外にも、イルカ、アシカ、ベルーガの動物パフォーマンスが人気を集める。800種1万1000点の海の動物を展示しており、海を身近に感じることができるよう展示方法にも特徴がある。「エコ・アクアローム」では、房総の川の源流から海までの環境を細分化し、川と海の生物を自然のままに展示する。地元の漁師との交流も盛んで、定置網漁船に乗って魚を採集するなど地道な研究活動を展開している。

 「水族館では、種の保存、繁殖の推進という役割も大切だ」と荒井館長は話す。千葉県が日本における産卵場所の北限とされるアカウミガメの卵の保護活動を展開しており、5月から10月まではスタッフが海岸の監視活動を続ける。

 アカウミガメの生態を地元の子供たちに教える活動にも熱心に取り組む。荒井館長は「地元の海岸でアカウミガメの産卵が行われていることを知らない人たちは多い」と話す。

飼育係員らが千葉県内の幼稚園や小・中学校、特別支援学校を対象に出前授業を実施するのは、自然や命の大切さを知ってほしいという思いからだ。「実際に、見て、触れて学ぶことも大切」として、鴨川シーワールドに訪れた来場客にも講義を実施する。

 観光業界は、訪日外国人の増加に伴い、かつてない飛躍のチャンスが訪れている。荒井館長は「インバウンドの外国人観光客は、南房総ではまだ少ないが、一刻も早く受け皿を整えることが課題だ」と力を込める。動物のパフォーマンスや展示物などを外国語対応にしたり、外国人の集客を高めるウェブサイトなどのPR方法の構築を検討している。

 45年前の鴨川シーワールドの誕生は、海水浴程度の観光地だった南房総をリゾート地に変えた。地元の発展の中核施設の役割をも担う鴨川シーワールドは、マザー牧場(千葉県富津市)など近隣のレジャー施設や宿泊施設などと連携し、観光の回遊性を高めている。「観光客をディズニーランドから足を伸ばしてもらえるような魅力ある観光地」を目指している。

 フジ・メディア・ホールディングス(FMH)との連携で、鴨川シーワールドでは集客力強化への機運が高まっている。荒井館長は「シャチやアカウミガメなど、全国や世界に通用する見せ所はたくさんある。どれだけ多くの人に伝えられるかが今まで以上に重要になっている」と話しており、メディア機能との連携に期待を寄せている。
※sankeibizより
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