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ペットボトルなどの素材「ペット樹脂」を分解することができる細菌を、慶応大学などのグループが発見し、微生物の力を利用したエネルギー消費の少ない新たなリサイクル技術につながる可能性があるとして注目されています。
石油からつくられる「ペット樹脂」はペットボトルや衣類、容器などに幅広く利用されていますが、現在のリサイクル技術では大きな熱エネルギーが必要になることが課題になっています。
慶応大学などのグループはペット樹脂を分解できる微生物を探そうと、ペット樹脂製品の処分施設で土壌を採取し、そこに住みついている細菌を詳しく調べました。
その結果、ペット樹脂を分解することができる細菌を発見し、この細菌がペット樹脂を分解するために作り出している酵素も取り出すことに成功したということです。ただ、酵素の力が弱いため分解のスピードは遅く、グループでは、今後、酵素の力を高める研究を進めることで、微生物の力を利用したエネルギー消費の少ない新たなリサイクル技術の開発につなげたいとしています。
研究グループの慶応大学の宮本憲二准教授は「石油資源にも限りがあり、環境への負担が少ない新しいリサイクル技術を生み出せるよう研究を進めていきたい」と話しています。
(2016年3月11日 4時17分の記事)
(2016年3月11日 4時17分の記事)
※参考:[プレスリリース]慶應義塾大学・京都工芸繊維大学(PDF資料)
ポリエチレンテレフタレート(PET)を分解して栄養源とする細菌を発見-ペットボトルなどのPET製品のバイオリサイクルに繋がる成果-
<研究背景>
PET は石油を原料に製造され、ペットボトルや衣類などに汎用されています。世界の PET 樹脂総生産量(2013 年)は、約 5600 万トンで、容器包装用(1540 万トン)、フィルム(320 万トン)、繊維(3800 万トン)等に使用されています。リサイクルされているのは、ペットボトルのみで、それはペットボトル生産量(613 万トン)の37%、PET 樹脂総生産量の 4.1%に過ぎません。使用済み PET 製品の多くは廃棄されています。
今後、人類が持続可能な社会を構築するためには、限りある資源への依存から脱却し、リサイクルへと舵を切ることが求められています。現在行われている主要な PET のリサイクル手法の一つにケミカルリサイクルがありますが、膨大なエネルギーを消費するなどの問題点が
今後、人類が持続可能な社会を構築するためには、限りある資源への依存から脱却し、リサイクルへと舵を切ることが求められています。現在行われている主要な PET のリサイクル手法の一つにケミカルリサイクルがありますが、膨大なエネルギーを消費するなどの問題点が
あります。
PET 製品は安定であるため、自然界では生物分解を受けないとされてきました。しかし私たちは、
PET を栄養源とする微生物を見つけることができれば、その生物機能を利用することで、低エネルギ
ー型・環境調和型の「PET バイオリサイクル」が実現できると考えました。
※慶應義塾大学・京都工芸繊維大学(PDF資料)より
※慶應義塾大学・京都工芸繊維大学(PDF資料)より