※写真、オスのシャチがウミガメを投げ飛ばした様子:Bob Smart氏撮影
※写真、小さなゴムボートに乗って撮影中の様子、Craig Platt氏撮影:travellerより
ガラパゴス諸島の西部にあるフェルナンディナ島(Fernandina Island)での観光クルージングにおいての映像です。
このクルージング(ツアー名:Ocean Spray)は、海上から、島に生息するウミイグアナやアシカなどを観察するものです。
その日、このツアーで、海上に黒い大きな背ビレが見え、それが海中に消えてすぐ、乗っていたボート側面の海面が奇妙な平面状のベタ波になったかと思うと、何かがボートの下で動いているのを感じました。
すると、突然、シャチがボートの1~2m先に、まるで火山が噴火するように現れ、可哀想なことにウミガメが餌食になっていました。
このツアーガイドのJavier氏も、この光景に驚きを隠せません。
彼は、18ヶ月間、この島でシャチを見ていないのです。もちろん、このような光景は初めてでした。
ホエールウォッチングでクジラに遭遇することはあっても、彼等は単に呼吸のために浮上するだけだからです。
筆者もシャチを見たのはカナダのバンクーバー島で見て以来の経験だったと思います。
ウミガメには硬い甲羅があり、シャチには食べづらいので奮闘しているようでした。ウミガメはシャチの頭の上に乗っかっているようにも見えました。
何度か左右にウミガメを投げ飛ばし、両者は海中に消えていきました。
あまりに突然の出来事だったため、カメラで撮ったものの、どれもいい写真ではなかったそうです。シャチが何回もウミガメを襲う中、カメラできちんと撮影するのは不可能でした。
「写真がうまく撮れなかったなんて、そんなことは大した事じゃないよ。重要なのは、実際に見たって事だよ。」
と同船した客のJulie氏がいいます。
確かに筆者の私もそう思いました。
数分後、同じウミガメかは分かりませんが、ウミガメがボートの数メートル先の海面に現れ、無傷で泳いでいました。
ウミガメはシャチに空中へ約25m投げ飛ばされ、シャチの体はほぼ宙に浮いていました。海面を漂うウミガメにシャチはさらに2回アタックを繰り返したそうです。
オレゴン州立大学の研究所の海洋哺乳類の専門家のAri Friedlander氏は、シャチにとって、ウミガメは通常の餌ではないと述べています。
シャチのこの写真を見た上で、Ari Friedlander氏は、
「シャチの歯は、切ったり磨り潰すしたりするのではなく、しっかり噛んで離さないように出来ています。なので、甲羅を狙うよりは、下側から狙おうとしたのではないかと思われます。シャチは、通常、大きな獲物のアシカやイルカを狙うとき、まず、トスしたり投げ飛ばしたりして気絶させて動けなくさせます。この写真のシャチは、経験の浅いオスで、ウミガメを同じように扱ったか、または、遊んでいたのかもしれません。」
と述べています。
海面は再び静かになりましたが、緊張しているのか、私の高鳴る鼓動だけが聞こえていました。
体重6トンもの動物との思いがけない遭遇に、もし、我々の小さなボートにちょっとでもぶつかったり乗り上げてきたらと思うと、かなり恐ろしいものを感じました。
今まで、ライオン、豹、ホッキョクグマなどの野生動物を見たことはありましたが、今回のクルージングのようなことは初めてでした。多種多様の野生動物のいるガラパゴス諸島の旅にはきっと驚きがあることでしょう。
筆者:Craig Platt氏
(2016年8月2日のtraveller記事翻訳)
※参考:
・ガラパゴスクルーズ、Ocean Spray Galapagos Cruise
・ガラパゴスクルーズ、Ocean Spray Galapagos Cruise
・ガラパゴスツアー
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